飲食店が被害にあう詐欺を防ぐスタッフマニュアル

・飲食店のみなさん、事例を知ってお店の詐欺被害を防ぎましょう!知り合いに協力してもらい簡単なマニュアルを作ってもらったので、よろしければダウンロードできますので役立ててください
※内容は、なら法律事務所の朝守令彦弁護士のチェック、アドバイスを受けたものです

 

2018年3月16日(金)のお昼過ぎに、当店に男女二人組が訪れ、席についてしばらくすると、「シートに水がこぼれていてカバンが水に濡れた。記念の特注カバンだから店には売っていない。弁償して欲しい」と現金5万円を要求されました。

ランチの営業後を狙っているので、きっと売上金がレジにある時間帯を知っているのだと思います(店の混み具合を見て、金額を変えているのでしょうか。他店では7万円要求された、とか)。

お客様が帰られた後、スタッフが必ず忘れ物チェックとテーブルの清掃をしますので、どう考えても水がこぼれていないことに気付かないわけはありません。でも、人間ですから、見落としたのかもしれないと思い、不安になってきて、でもさすがに要求が一方的に過ぎますので、押し問答のようになってしまいました。

私「連絡先を教えてください」
男性「教えられない。東北の方に急いで帰らなければいけない。とりあえず、早く支払って」
私「無理です。そんなお金はありません」
男性「それくらいあるだろう。なんとかしてくれないと困る。都合があるのでとにかく早く帰らないといけない」

だいたいこんなやりとりでした。私も飲食店のわずかな利益が吹っ飛びますので必死です。見るに見かねたお客様が携帯で警察を呼んでくださいました。助かりました。

すぐに奈良県警の人が来てくれ、仲裁してくれましたが、要領を得ず、警察もこういう詐欺事件があることを情報共有していない、もしくは把握していないようでした。

あとから知人に相談するとネットでまったく同じ被害に遭った事例が報道されていました。京都府警も呼びかけをしていましたが、奈良県警には届いていないようでした。

詐欺「京都の飲食店で「かばん汚れた」と不当要求」(毎日新聞 2017年11月15日)
警察は「不当な金銭要求があったら110番してほしい」と注意を呼び掛けています、とのことです。

(後日の)奈良県警からの呼びかけ(の様子を伝えるTwitter)

経営者の先輩に相談すると「それは飲食店を狙った詐欺だよ」と言われました。知り合いの飲食店の経営者に聞くと、「うちの店もやられたで」「以前のバイト先では店長が泣く泣く支払ってたよ」という声もちらほらありました。共有しておいてよ!と言いたくなりました。おそらく表に出ている以上に被害件数はあるようです。

おとなりの京都などでも同様の被害があることを京都府警も把握していたので、もっと情報共有が出来ていたらこういうこともなくなるのに、と思いつつ、だったら私がということで、知り合いに「飲食店がどんな詐欺被害に遭っているのだろう」と事例を調べてもらって当店のスタッフ用にマニュアルにしましたので、よろしければ、みなさんもダウンロードして活用してください。こんな悲しい詐欺をなくしましょう!

以下は、飲食店が被害にあった事例と対応策です。参考にしていただき、これ以上、被害者も加害者も増えないことを祈ります。そして、スタッフが生き生きと仕事をできる飲食店が増えること、そんな行為をしなければならない人が減ることを願います。

対策として防犯カメラの設置がお薦めです。最近は安くて高性能な防犯カメラも増えています。

 

■マニュアル、ポスターをダウンロードしていただけます

飲食店が被害に遭う詐欺を防ぐスタッフマニュアルver.1.1

※クリックするとPDFがダウンロードできます
※コピーや複製、改変はご自由にお願いします
※活用していただきやすいように「まるかつ」という名前は消してあります
※もし不適当な内容があればご指摘ください
※内容は、なら法律事務所の朝守令彦弁護士のチェック、アドバイスを受けたものです

A3サイズのポスター(もしくはA4)を作っていただきましたのでご活用ください。
注意しましょう 飲食店でよくある詐欺やクレーム

※クリックするとPDFがダウンロードできます

 

『飲食店が被害に遭う詐欺を防ぐスタッフマニュアル ver.1.1』

次のような事例はほとんど詐欺や迷惑行為ですので、慌てずにまず店長や他のスタッフに相談してください。どうしても店長にすぐに連絡が取れない場合は、警察に相談し、お客様には「国民生活センターに相談してください」と言ってください。

基本は「一人で対応しない。その場で支払ったり、約束事をしない」ということです。連絡先を教えてもらい「後日店長から連絡する」と言ってください。

知識があればまだ慌てずにすみますので、詐欺の事例と対処法を知っておいてください。

また、何か発生しても、法律の専門家である弁護士の先生に相談しますので、安心してください。

□□事例1:
「テーブルやイスが汚れていたりぬれていたせいで、カバンや服が汚れたから弁償して欲しい」と要求してきた
(対応法) 明らかにお店に落ち度があるとき以外は支払いはしません。

□□事例2:
「言葉では納得しないから土下しろ」と要求してきた
(対応法) 土下座をする必要はありません。要求した側に強要罪の可能性があります。

□□事例3:
連絡先を聞いて「とりあえず一度お引き取りください」と言っても「支払ってほしい」と言い張って立ち去らない
(対応法) 警察を呼びます。業務妨害、不退去罪が成立するかもしれません。

□□事例4:
「さっき店内でおたくのスタッフに足を踏まれてケガした」と電話で呼び出す
(対応法) そんなわけない!ということですぐに警察に相談します
※こちらが慌てることを狙ってダメ元で要求してくる詐欺です

□□事例5:
「食中毒になった。保健所に通報するぞ!」と電話があった
(対応法) むしろきちんと届け出してもらってください。通常、医療機関から保健所に報告が行きます。お店にも報告義務がありますので、誠実に事実を調査して対応します。
★もちろん、いつもお願いしているように衛生面には最大限配慮してください!

□□事例6:
「おたくで食事したが部下が食中毒で倒れて会社が損害を受けた。保健所に通報されたくなければ損害を賠償して欲しい」と要求してきた
(対応法) 慌てる必要はありません。脅迫罪の可能性もありますので、基本的には弁護士に相談して慎重に対応していきます。

□□事例7:
「店長(もしくはオーナー)に頼まれた」と言ってレジのお金を渡すように要求、もしくは指定した場所に持ってこさせる
(対応法) 店長はそんなことはしませんので、絶対に店長以外にお金を渡してはいけません。

□□事例8:
「防犯のためにレジ内の釣り銭を減らしたいから回収します」と言ってレジのお金を渡すように要求、もしくは指定した場所に持ってこさせる
(対応法) 店長はそんなことはしませんので、絶対に店長以外にお金を渡してはいけません。

□□事例9:
「イベントの代金の支払日の締め切りが迫っているので集金にきました。今日中に支払わないとイベントに出展できなくなります」と言って慌てさせてレジのお金を渡すように要求、もしくは指定した場所に持ってこさせる
(対応法) 絶対に店長以外がお金を支払うことはありませんし、イベント側も急なキャンセルは困るだけですので、そんなことはありえません。

□□事例10:
髪の毛、ホッチキスの針、針金、ビニール片、鳥の羽、虫の死骸などが入っていたので無料にしろ、と要求してきた
(対応法) 基本的には「すみません。お料理を取り替えます」と対応します

□□事例11:
髪の毛などが入っていたが気付かず食べてしまい気分が悪くなったからお見舞い金を要求してきた
(対応法) 連絡先を聞いて「店長が対応します」と伝えます。連絡先を教えようとせず、立ち去りもしない場合、特にお店の駐車場などの敷地内に居座る場合は、警察を呼びます。

□□事例12:
わざと店員にぶつかって「誠意を見せろ」と要求してきた
(対応法)連絡先を聞いて「店長が対応します」と伝えます。連絡先を教えようとせず、立ち去りもしない場合、特にお店の駐車場などの敷地内に居座る場合(不退去罪の可能性)は、警察を呼びます。

□□事例13:
わざとスマホなどの貴重品を忘れてお店に「明日取りに行きます」と電話を入れておき、今日のうちに取りに来てスマホを渡した結果、別人が次の日に「昨日電話したものですが忘れ物を取りに来ました。え?別の人に渡した?どうしてくれるんだ!弁償しろ!損害を賠償しろ!」と要求してきた
(対応法)そもそも忘れ物はお店で預からずにできるだけ早く警察に届けます。また、本人のものであることを確認もせずに忘れ物を渡してはいけません。

※飲食店に「財布(スマホ)忘れてませんでしたか?」といって、偶然忘れられていた財布を手に入れようとする詐欺も多く発生しています。「どんな財布ですか?」などと質問し、本人のものだと確認できない限り、勝手に渡してはいけません

<まとめ>
1.店長がいなくても原則として一人で対応せず、他のスタッフにもすぐに知らせます。そして、他の者が店長を呼びに行きます。

2.大声で怒鳴ったり、暴言を繰り返したりする場合、刑法の「威力業務妨害罪」に当たる可能性があるので警察に通報すると伝えましょう。

3.もちろんお店が悪いケースもあるかもしれませんので、冷静で誠実な態度で対応しましょう。

 

以上です。

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